【勉強】派遣薬剤師の種類

#46

2016年08月26日
 
吹き付ける雨が窓を強く叩いている。
凄い風だなと思いながら、僕は外を見た。
これは、無理に帰らない方が賢明かもしれない。
今日は、薬剤師の雇用形態について勉強会が開かれていた。
正社員、パートやアルバイト、契約社員と派遣社員についてまでの説明を、マコトから聞いたところだ。
makoto_magao
 
「今度は、派遣薬剤師の種類について話すね」
 
kotomi_kao
 
「いくつか種類があるんですか?」
 
 
僕の隣で、コトミが尋ねた。
手に持っているのは、先日僕があげた、黄色い電気ネズミのキャラクターがついたボールペンだ。
この雨では、さすがに奴らを探しに行くのは難しい。
次の休みには晴れると良いのだけれど。
いや、晴れたら暑いから困るな。曇りくらいがちょうどいい。
そんなことを考えていると、マコトが派遣薬剤師の種類について説明を始めた。
makoto_magao
 
「派遣薬剤師には、3つの種類があるんだ。
 まずは、コンスタント派遣。
 これは、週に数日間だけコンスタントに働くという形態だよ。
 だいたい、週に3日間くらいが目安だね。
 期間は、数週間から何ヶ月間といったところかな。
 一番、一般的にイメージされる派遣薬剤師さんだと思う」
 
yukito_odoroki
 
「派遣薬剤師って、毎日働かないんですか!?」
 
 
衝撃的な事実に目を丸くしたら、マコトが僕に向かって微笑んだ。
makoto_bisyou
 
「毎日働く職場もあるよ。自分の働きたい日数にあわせて選ぶといいね。
 派遣される職場は、薬局、ドラッグストア、病院、企業など幅広い。
 だから、いろんな職場で働いてみたい薬剤師さんにおすすめだね」
 
 
ということは、色々な職場を経験した後、一番働きたいと思った職場に転職をするということも出来るんだな。
職場体験みたいだ。
makoto_magao
 
「次に、スポット派遣。単発派遣ともいうね。
 1日だけ働くとか、単発でのお仕事だから、こう呼ばれているんだ。
 予定があいているときに、月数回だけ働くといったことができる。
 派遣先には、薬局やドラッグスストアが多いかな」
 
kotomi_kao
 
「1日だけ……ですか?
 あんまり稼げないし、仕事にも慣れなさそうですよね」
 
 
コトミが首を傾げる。
日雇いのアルバイトみたいなものだろうか。
makoto_magao
 
「出産や育児などで休暇をとっていた薬剤師さんが、復職前にトレーニングとして活用することも多いんだって」
 
kotomi_kao
 
「なるほど。それで感覚を取り戻すんですね!」
 
yukito_gimon
 
「でも、全然働けなかったら雇い主は困りますよね……?」
 
makoto_kao
 
「うん。トレーニングとは言っても、即戦力になることは前提条件だからね。がんばって働こう!
 それで、やっぱり1日中働くのは体力的にむずかしいなとか、これなら週に何回は働けそうだなとか、その先の働き方を考えてみるといいよ」
 
 
家庭と仕事の両立が出来るかどうか、判断するために1日働いてみるということか。
makoto_magao
 
「最後は、出張派遣。
 地方の薬局で働くことだよ。
 期間は1~2ヶ月くらいかな。
 出張先の家賃や光熱費は、求人先や派遣会社が負担してくれるんだ。
 地方の薬局勤務に興味がある人は、試してみると良いかもしれないね」
 
kotomi_kao
 
「どうしてわざわざ出張しないといけないんですか?
 地元の薬剤師さんを雇えばいいのに」
 
makoto_bisyou
 
「薬剤師さんが不足している地域があるからだよ」
 
 
日本全国、どこにでも薬剤師が溢れているわけではないのか。
考えてみれば当然だった。
makoto_hohoemi
 
「派遣薬剤師は、休みが取りやすいのが利点だね。
 派遣薬剤師として半年間働いたあとに、一回お仕事を辞めて、海外旅行をするなんて人もいるみたい」
 
kotomi_kao
 
「楽しそう!」
 
 
弾んだ声でコトミが笑った。
確かに、そんな生活は魅力的に見える。
手に職があるというのは良いことだな。
僕なら、稼いだお金は老後のために貯金しておきたいけれど。
働いていない期間があるなんて、不安になったりはしないのだろうか。
そういう人は、休みを取らずに働き続ければ良いのか。
makoto_magao
 
「それに、定期的に職場が変わるから、人間関係の悩みを抱えにくいのがメリットだよ。
 人間関係のトラブルで働くのがつらくなる人は多いからね。
 うまくいかない相手と、ずっと同じ職場で働くのは苦しいだろうし」
 
 
人間関係を円滑にするのが難しいのは、僕にもよく分かる。
ひいらぎ転職相談所にも、人付き合いが苦手そうな職員がいることだし。
あの人、他の職場に行ったら孤立するんじゃないだろうか。
無駄な心配をしている僕をよそに、勉強会は終わろうとしていた。
makoto_magao
 
「こんなところかな。
 雨がすごいね。傘が吹き飛ばされそうだ。
 ユキトくん、弱くなるまでここで待つ? 泊まって行っても平気だよ」
 
yukito_gimon
 
「様子を見て考えます。
 カイトさんに送ってもらうって手もありますし」
 
makoto_egao
 
「そうだね。頼んでみるといいよ」
 
 
さすがに自転車は積ませてくれないだろうなぁと思いながら、僕は席を立った。