【勉強】製薬メーカーの仕事~MR職について~
#43
2016年08月9日
マコトに、「ずいぶん間が空いてしまったけど、続きをしようと思うんだ」と申し訳なさそうに言われて、何のことか分からずに固まってしまった。
僕が困っているのに気付いたらしい。
僕が困っているのに気付いたらしい。

「勉強会したいんだけど、コトミちゃん呼んできてくれる?」
そうだ。思い出した。
薬剤師が働く職場にはどんな所があるのかという話をしていたんだった。
今までに、調剤薬局、ドラッグストア、病院の説明を受けている。
確か、製薬メーカーの話が残っていたはずだ。
薬剤師が働く職場にはどんな所があるのかという話をしていたんだった。
今までに、調剤薬局、ドラッグストア、病院の説明を受けている。
確か、製薬メーカーの話が残っていたはずだ。

「分かりました」
書きかけのブログを保存して、僕は受付にいるコトミを迎えに行った。
会議室に入ると、熱気が充満している。
さすがに窓を開けてどうにかなる暑さではないので、エアコンを入れさせてもらった。
さすがに窓を開けてどうにかなる暑さではないので、エアコンを入れさせてもらった。

「じゃあ、今日は製薬メーカーのお仕事について説明するね」
まだ全然涼しくなっていないのだが、爽やかな笑顔でマコトが始める。
コトミも爽やかに「はい!」と大きく頷いた。
コトミも爽やかに「はい!」と大きく頷いた。

「製薬メーカーの主な仕事は、MR職、研究職、開発職だよ」

「えむあーる職ってなんですか?」
コトミが首を傾げる。
後の2つは言葉でなんとなく分かるが、最初のMR職というのは僕にも分からない。
後の2つは言葉でなんとなく分かるが、最初のMR職というのは僕にも分からない。

「Medical Representativeの略で、医療情報担当者のことだよ。
自社の医薬品について、特徴や副作用、有効性などの情報を医師や薬剤師さんに提供する人なんだ。
医薬品の適切な用法を促すことで、患者さんの安全性を確保するのはもちろん、自社製品の売り上げを伸ばして普及させることが大事なお仕事になるね」
自社の医薬品について、特徴や副作用、有効性などの情報を医師や薬剤師さんに提供する人なんだ。
医薬品の適切な用法を促すことで、患者さんの安全性を確保するのはもちろん、自社製品の売り上げを伸ばして普及させることが大事なお仕事になるね」

「今まで聞いた職場の仕事内容とは、ずいぶん違う感じがしますね」

「え、そう?
薬の効果を説明するなら、調剤薬局やドラッグストアでもやっていたことじゃないの?」
薬の効果を説明するなら、調剤薬局やドラッグストアでもやっていたことじゃないの?」

「今までのは患者に対して説明していたけど、この仕事は医師や薬剤師に対して情報を提供するってことだったから……」
コトミの質問に僕が不安げに答えると、マコトは笑顔でうんうんと頷いた。

「薬の専門家に情報提供するわけだから、より詳しく相手に説明できる知識が必要になるね。
そうして、開発された薬を世の中に送り出すんだ」
そうして、開発された薬を世の中に送り出すんだ」
自社製品について詳しい情報を集めて管理したり、情報を正しく説明する技術が必要な仕事だということか。

「ということは、いろんな病院や調剤薬局へ行ったりもするんですか?」

「そのとおり。
そこで、信頼関係を築いていくことが大事なんだ。
人と話すのが好きな人や、自社製品を普及して社会に貢献したいと思う人に向いている職種だよ」
そこで、信頼関係を築いていくことが大事なんだ。
人と話すのが好きな人や、自社製品を普及して社会に貢献したいと思う人に向いている職種だよ」

「なるほど。薬剤師さんはコミュニケーション能力が必要なお仕事が多いんですね」
コトミは頷きながらメモを取っている。
以前も見た黒いクマのボールペンだが、インクがなくなりかけていた。
以前も見た黒いクマのボールペンだが、インクがなくなりかけていた。

「1日にどのくらい訪問するんですか?」

「うーん。訪問する場所にもよると思うけど、5~6件くらいかなぁ。
開業医担当の方が多くて、病院担当だと少なくなるみたい。
病院内には治療に関わる人がたくさんいて、いろんな人とコミュニケーションをとる必要があるからだね」
開業医担当の方が多くて、病院担当だと少なくなるみたい。
病院内には治療に関わる人がたくさんいて、いろんな人とコミュニケーションをとる必要があるからだね」
訪問する数が少ない方が良いかと思ったが、そうでもなさそうだ。

「それに、お医者さんは忙しいから、あまり時間をとってもらえなかったりするんだよね。
質問にすぐ答えられるように準備したり、興味がありそうな情報を用意しておいたりすると良いと思う」
質問にすぐ答えられるように準備したり、興味がありそうな情報を用意しておいたりすると良いと思う」
相手のニーズに応えられるようにしておくということか。
接客業では常に気にしておかなければならない所だな。
接客業では常に気にしておかなければならない所だな。

「すごくやりがいのあるお仕事に思えるんですけど、MR職のデメリットってなんですか?」

「転勤が多いことだね。
それから、これがデメリットかどうかは人によると思うけど、MR職は薬剤師免許が必須ではないんだ」
それから、これがデメリットかどうかは人によると思うけど、MR職は薬剤師免許が必須ではないんだ」

「薬剤師さん以外もなれるんですか?」

「そうなんだよ。だから、薬剤師免許を生かしたお仕事をしたいと思っている人には、ちょっと残念だね。
『もう調剤をしたくない』って思っている薬剤師さんには、良いかもしれないよ」
『もう調剤をしたくない』って思っている薬剤師さんには、良いかもしれないよ」
薬剤師の中にも色々な人がいるだろうから、この仕事を魅力に感じる人もいて当然だ。

「でも、MR職はボーナス比率が高いから、高収入なんだ」
そういえば前に、実力次第で1,000万円を超えることもあると聞いた気がする。

「あと、これは次に説明する研究職と開発職にも言えることなんだけど、製薬会社は大小にかかわらず福利厚生が整っていることが多いよ。
基本的に土日、祝日はお休みだしね。
これは大きなメリットなんじゃないかな」
基本的に土日、祝日はお休みだしね。
これは大きなメリットなんじゃないかな」
マコトは得意げに頷いて、「じゃあ次に……」と、研究職と開発職の説明に入ろうとした。
しかし、突然響いた携帯の呼び出し音にかき消される。
僕のでもコトミのでもない。
しかし、突然響いた携帯の呼び出し音にかき消される。
僕のでもコトミのでもない。

「ごめん、電話だ。ちょっと休憩にするね」
申し訳なさそうな顔をして、マコトは会議室を出て行ってしまった。
僕とコトミは顔を見合わせたが、休憩ということなので席を立つ。
続きはまた次回だ。
僕とコトミは顔を見合わせたが、休憩ということなので席を立つ。
続きはまた次回だ。