薬剤師が興味を持つ情報を考える

#38

2016年06月10日
makoto_gimon
 
「なにか、薬剤師さんたちが興味を持つようなこと、ないかなぁ」
 
 
マコトが大きな声で言った。
独り言のようにも聞こえるが、カイトに話しかけているのだろう。
そう判断して、キーボードを打ち続ける。
makoto_magao
 
「ねえ、カイトくんにユキトくん。なにかない?」
 
 
自分の名前に反応して顔を向けると、マコトと目が合った。
執務室にいる人間が誰も返事をしないので、名前を呼ぶことにしたらしい。
makoto_gimon
 
「ユキトくんも、ブログに書くことがなくて困っているでしょう?」
 
kaito_magao_2
 
「最近は業務日報も、薬剤師向けの話を書くようにしているようだしな」
 
 
カイトが話に加わる。
ブログの内容は読まれていないはずだが、Twitterで更新情報を流す時のためにタイトルと概要を教えているから、真面目な話を書いていると思われているのだろう。
yukito_muhyojyo
 
「専門的な話になると僕には分からないことばかりなので、ちゃんと書けているかどうかは自信がありませんけどね」
 
 
マコトに教えてもらったことを書いているので、たぶん間違ってはいないと思うのだが、万が一ということもある。
自信を持ってお届けしているなどとは言わない方が良いだろう。
makoto_hohoemi
 
「いつもありがとう」
 
 
仕事なのでマコトに礼を言われるようなことではないのだが、少し嬉しくなった。
makoto_magao
 
「薬剤師さんのお仕事について書くのは、大変でしょう?」
 
yukito_muhyojyo
 
「正直に言わせてもらえば、マコトさんやカイトさんの日常を面白おかしく書いている方が楽です」
 
makoto_odoroki_2
 
「本当に正直に言ったね……」
 
 
マコトとカイトの話を書く時は、目の前で起こっている出来事を記すだけだから、頭を使わない。
真面目な記事を書く場合は、これでも一応ネットで言葉を調べたりしているのだ。
耳で聞いた言葉は、漢字が分からなかったりもするし。
kaito_magao_2
 
「俺には都合が良いが、何故真面目な記事を書くことにしたんだ?
 お前の意志じゃないだろう」
 
yukito_muhyojyo
 
「マコトさんに頼まれたからですよ」
 
makoto_magao
 
「うん。僕が頼んだんだ。
 僕たちのことをみんなに知ってもらうことは大事だけど、転職相談に来ている薬剤師さんにとって、本当に必要な情報を提供することも大切だと思ったんだよ。
 薬剤師さんがほしい情報ってなんだと思う?」
 
kaito_magao_2
 
「俺たちのどうでもいい日常じゃないことだけは確かだな」
 
 
いや、それも楽しみにしている人はいるはずだ。
個人的な希望だけれど、いて欲しい。
yukito_muhyojyo
 
「じゃあ、ブログに書く薬剤師向けのネタを提供してください」
 
kaito_magao_2
 
「だから、それが何かないかとこいつが訊いているんだろう」
 
makoto_komari_1
 
「それもあるけど、薬剤師さんに送るメールもね……」
 
 
マコトは困った顔をして、言葉を濁した。
kaito_konwaku
 
「そういえば、近頃あまり送っていないな」
 
makoto_komatta_egao
 
「なにを送ったらいいのか、悩んでいるんだよ。
 読んでもらいたいから、ちゃんとしたことを書かなきゃと思うと、むずかしくてね」
 
kaito_magao_2
 
「なるほどな」
 
 
カイトは納得して、黙り込んだ。
何かないかと考えているのだろうか。
makoto_magao
 
「やっぱり、気になるのは在宅医療の話じゃないかな」
 
 
しばらく考え込んだ後、マコトがそう言った。
これからは在宅医療が重要だという話を、どこかで聞いた気がする。
makoto_komatta_egao
 
「患者さんのお宅に訪問するお仕事があるんだよね。
 なんだっけ。訪問薬剤師っていったかなぁ。
 ちゃんと思い出せないや」
 
 
マコトが恥ずかしそうに笑うと、カイトは鼻で笑った。
kaito_bisyou
 
「ちょうどいい。お前、その訪問薬剤師とやらの仕事について調べてみたらどうだ」
 
 
カイトが言う「お前」が、僕を指しているのは目で分かった。
yukito_odoroki
 
「僕がですか?」
 
kaito_magao_2
 
「自分で調べるのも良い勉強になる。
 一週間もあれば充分だろう。来週の会議で報告しろ」
 
 
嫌ですよ、面倒臭い。と言いかけたが、僕が声を出す前にマコトに遮られた。
makoto_egao
 
「それはいい考えだね!
 じゃあ、ユキトくん。お願いするよ」
 
yukito_odoroki
 
「えっ……ちょっと待ってくださ……」
 
kaito_magao_2
 
「仕事だ」
 
 
そう言い切られてしまっては、何も言えない。
yukito_syazai
 
「……分かりました。じゃあ、一週間後に報告します」
 
 
仕方ない。ネットで出来る限り調べてみるとしよう。